
一本の木がくれたご縁
2025/06/14
先日、とあるお客様からご依頼をいただきました。
庭の片隅に立っている、古い柿の木の剪定です。
その木はお客様のお父様がご存命の頃に植えられたもので、樹齢はもう40年以上。
毎年たくさんの実をつけ、ご家族の食卓を彩ってきたそうです。
けれど近年は枝が伸びすぎて実もつきにくくなり、庭を覆うほどの大きさに。
「切るしかないのかな」とお悩みでした。
私は木の様子を見て、根の張りや幹の勢いを確かめました。
すると、まだしっかりと生きる力を持っていると感じられたのです。
「剪定で若返らせれば、まだこの木は元気になりますよ」
そうお伝えすると、お客様は目を潤ませて
「父もきっと喜ぶと思います」と言ってくださいました。
剪定を終えた後、その木はすっきりと枝葉を広げ、青空にまっすぐ伸びていきました。
お客様は何度も「ありがとう」と繰り返し、最後に一言——
「庭の木はただの木じゃないんですね。家族の思い出なんだと改めて気づきました」
植木屋の仕事は、木を整えるだけでなく、人の心にも触れるもの。
一本の木がつないできたご家族の歴史に、少しでも寄り添えたことが何よりの喜びでした。